Vol.22  あの夏の日 ~子供時代の終わり~    written by  鐘栄瞭

箏句(ことく)神社脇の竹やぶの中でゆかりによって2度目の精通を誘発された私は、

その日の夜もあの快感のことばかりが忘れられず、ゆかりと日出子を見る目は既に欲望のそれとなっていたのでした。


その夜、また当然のようにお医者さんごっこの中で、ゆかりに性的欲求を満たしてもらえるものだと思いこんで、

ひとり、胸を高鳴らせていたのですが、夕食が済み、風呂から上がると、

ゆかりと日出子は下の縁側で父親とずっと何か話していました。


風呂上がりの私も、2階のゆかりたちの部屋に行く途中に中庭を通った折り、その縁側を脇にみる形になりますので

ゆかりたちが西瓜を食べながら何か楽しそうに話しているのを見ると、ゆかりの父親(私の父の兄)の賢五が

「栄ちゃん、一緒に西瓜食べなんと?」

と声をかけてくれました。

「は、はい。ありがとうございます。」

と言って、伯父たちの輪に加わりました。


話題の内容は、二日後に迫った「箏句(ことく)さん祭り」でした。

ゆかりは今日の昼、みんなで神社の舞台の設営の様子を見に行ったことを賢五に話していたようでした。

私はゆかりがまさかあの竹やぶでの事を話していやしまいかと、相当に恐ろしくありました。

しかし、もちろん、その事は話しているはずがありませんし、

第一、日出子たちも全く知らない出来事だったはずです。


伯父の賢五は酒が入っているらしく、

上機嫌で今年の祭りの演目のことを語っていました。


やがて叔母のシズと私の父・母も話に加わり、その夜は遅くまで皆で祭りの話をしていましたので、

その日はお医者さんごっこもしないままに床についたのでした。


私はひとり、当てが外れ、腹の底部から湧き上がってくる無尽蔵の欲望を持てあましながら独り、悶々としておりました。


次の日、朝からゆかりたちと近くの川でなまずや鮒を捕りに行ったり、

箏句神社の祭りの舞台を見にいったりと遊び回って過ごしましたが、とうとう、ゆかりと「性のあそび」をする機会もないままに一日が終ったのでした。


ゆかりとは昨日の竹やぶの一件以来、何故か私との会話が少なくなっているのが気がかりでした。

私も私で、変にゆかりを意識してしまい、かといって一旦点いた欲望の火は消えることもなく、

満たされぬ欲望に苦しんでいました。


今夜こそ。

今夜こそお医者さんごっこをし、

ゆかりに医者の役をやらせるのだ。

もう患者役を恥ずかしいなどと思う気持ちなど微塵もない。

そしてもう一度、もう一度あの白魚のような指でねっとりとした触診を繰り返してもらうのだ。

いや、もしかすると、今夜の診察は昨日の竹やぶのようにあの少し厚ぼったい唇で…

また、あのぬるりとしたなめくじが…


そう考えるだけでと、私の心の臓は早鐘のように鳴り、

鉄のように固くなった性器の先端からは先走りのあの透明の液体がとめどなく流れ出し、

舶来のブリーフをあっという間に汚してしまうのでした。


そして、その夜、いつものように叔母のシズが私たちの部屋へ入ってきて

「消灯命令」を出すと、部屋の電球を消して、階下へ降りて行きました。


私はどきどきと胸を高鳴らせ、

日出子かゆかりがあの懐中電灯を箪笥の引き出しから出してくるのを待ちました。


しかし、いっこうに誰も動こうとしません。

それどころか、ゆかりも日出子も、それぞれ布団の中にはいったまま、

本当に寝始めている様子すらありました。


待てども待てども念願の「診察」が始まりません。

もう気が気ではなくなっていました。


風呂から上がったにもかかわらず、ブリーフの中の性器は

今夜の期待感への熱と汗で煮えたぎった鉄のように熱く、また固く、

流れ出す欲望の汁でとてつもなく青臭い匂いを放っていたのでした。


もう我慢も効かなくなり、私は寝始めているふたりに小さな声で

「ねえ、今夜はどうするの?」

と、囁いてみました。

日出子は完全に寝入っているようでした。

全く返事がありません。


かろうじてゆかりがくたびれたような声で

「んん… にゃ… 今夜はもう寝るとに…」

とつぶやいたきり、そのまま寝息が聞こえてきました。


私は全てを裏切られ、持て余した欲望の熱を冷ますこともできず、

気が狂いそうでした。

このまま大人しく寝れる訳もありません。


しかし、やがてゆかりも完全に寝入ってしまいました。


みなぎる欲望を持て余した私は、冷静な判断も出来なくなってしまっていたのでしょう。

強硬手段に出たのです。


部屋の箪笥の引き出しの中に隠してある懐中電灯を取り出し、

ゆかりの足下に回り込み、掛け布団を手探りでゆっくりとはがしました。

その中に懐中電灯を持ったまま顔を入れ、灯りを点けました。


ゆかりは浴衣一枚で寝ていますので、

浴衣ははだけ、そこから足を開いたり閉じたりしながら寝苦しそうにしています。

懐中電灯の灯りは、ゆかりの両足の腿の付け根をはっきりと照らしました。


ゆかりのあられもない、濃い桃色の女性器が灯りの元にさらされました。

それはいつもながら肛門に近い位置にあり、赤貝のように貝殻と貝殻の間から

艶めかしい肉ひだをのぞかせているのでした。


私はそれを見ただけで自らの抑制の限界に達していました。

掛け布団をかぶり、左手に懐中電灯を持ったまま、右手を自らの性器に伸ばしていました。


ゆかりの赤貝に顔を近づけると、なんとも艶めかしい雌の匂いがしました。

右手で自らの性器の包皮をつまみ、ゆかりにしてもらったようにくねくねと動かしてみると

既に流れ出しているヌルヌルの液体が絡みつき、快感は急上昇し、心臓の鼓動は最大の早さとなりました。


もはや私は掛け布団を完全にひきはがし、両足を開いてあられもない格好で性器をこちらに

見せつけている格好で寝ているゆかりに極限まで近づき、懐中電灯でその性器を照らし、

自らの性器をこねくりまわしながら、両脛でどんどん体ごとゆかりに迫って行きました。

性器の方の我慢も、既に限界に来ていました。


3回目の精通が起ころうとしていました。

尿道を伝って、あのマグマのような熱いものが迸ってきました。

私は咄嗟にゆかりの性器に自らの性器をあてがうようにしました。


性器と性器がわずかに接触した瞬間、

熱い欲望が一気に放たれました。



びゅびゅ、びゅるびゅる



といった音が聞こえたようでした。

私の性器から勢いよく飛び出した白濁液が、次々とゆかりの性器に打ちつけられます。

性器から放出されるたびに、あまりの快感に腰が動いてしまいます。

その度に、ゆかりの拡げられた赤貝の肉ひだに自分の性器の先端がぬるっと接触しています。


ここ数日、急に性器の包皮をずいぶんと荒っぽく扱い始めてから

包皮の中からわずかに桃色の亀頭が見え隠れし始めていました。

それにより、射精の時にはより勢いよく遠くまで精液が飛び始めていました。


ゆかりの赤貝の肉の合間に、濃厚で青臭い白濁液がべっとりと付着していました。

その光景もまた、とてつもなく私の性的欲望をかきたて、それを見ているうちに

また性器が固くなってきましてので、私はそのような状況でその夜、都合3回もゆかりの性器に自らの欲望を打ちつけたのでした。

一度など、勢いのついた性器の先端をゆかりの性器の肉ひだの中に軽くめりこませながら射精をしてしまいました。

その時の得も言われぬ快感は、自らの手で放出に導く時のそれとは天地ほどのものがありました。


そしてその欲望を放出する度に、例えようもないほどの快感と、これに相反したひどい自己嫌悪が入り混じり、

狂おしい獣のような夜を独り過ごしたのです。


部屋中に、青臭い、なんともいえない栗のような匂いが充満していました。


最後には自分の浴衣の一部で、気づかれないように私の放った汚物を拭き取り、

特にゆかりの股の周辺は細心の注意を払い、起こさぬように、完全に後処理をしたつもりでおりました。

そして欲望を果たし切ると、憑きものが落ちたように私はぐっすりと床についたのでした。



翌朝、皆で朝食を済ませると、また私たちは例によって川に遊びにいきました。

しかしゆかりは朝から一言も発せず、黙ったままでした。

「なんしたと、お姉ちゃん」

心配そうに聞く日出子にもほとんど答えていませんでした。


きっと昨夜の事を気がついたに違いない。

私は物言わぬゆかりが大変怖く、一言も声をかけれませんでした。


川で遊んでいると、やがてゆかりが私の傍に来てそっと口を開きました。

「ゆんべのことだけどな」

こわい声でした。


私は心臓が凍ったようになり

「えっ な、なに」

と声にもならないような声でそう答えるのがやっとでした。

「栄ちゃん、うちらが寝入ったどに、なんか悪さしよっただて」

やはりゆかりは気が付いていました。

もう言い逃れはできない、と私は内心すくみあがりましたが、とにかくとぼけるしかありませんでした。

「な、何? 何のことなの? 昨夜って…」

「わかっとるだて、栄ちゃん、うちの体にひばしこ(いたずら)したなが! 」


火のような勢いでゆかりは攻めてきました。


「え、や、やってないよ!」

「嘘だて、なにをとぼけるなさ!」


もうゆかりは確信していました。

朝、起きた時に気がついたであろう、自分の性器や股や浴衣の周り中に付着していた異質な液体の跡について。


「許さんからね!絶対!おとうに言いつけるがに」


私は青くなって震えました。

伯父に、そして両親にこんなことがバレたら、もう私はどうしてよいのかわからない。

私は必死になってゆかりに謝りました。


「ごめん!ごめんよ!ゆかりちゃん、誰にも言わないで、お願いだから!もう絶対にしないから!」


私は泣きながら、手を合わせながらゆかりに懇願しました。

そして嗚咽しながら

「そんな…ことが…ち、父と母に知られたらもう、僕は勘当される。い、生きていけなくなるよ…」

終いにはわんわんと声をあげて泣きだす始末でしたから

さすがにゆかりはそれを見て、先程の怒りの勢いが止まりました。


その様子を見て、何があっただ?と周りの友達や日出子も駆けつけてきました。

ゆかりは、日出子や友達に

「もうええけん。なんでもないがき。」

といってとりあえずその場をおさめてくれました。


その中には志野の姿もありました。

志野はどんな思いで泣き叫ぶ私を見ていたのだろう。

私は心底自己嫌悪に陥りながら、ゆかりのお説教を聞いていました。


「栄ちゃん、わかったき。ゆんべの事はお父には言わんて。」

「本当…?」

「うん、でもな、もうあき(あん)な事やめとせて。お医者さんごっこももうやめだて」

「うん…」


こうして遂に、あの長きに渡る甘美な遊びに終鴛が訪れたのでした。

私はどうすることもできず、ただただゆかりの言葉に従う他なかったのです。


大人への成長と引き換えに、「愛おしい遊び」を失った瞬間でした。


ゆかりもまた、竹やぶでの事、そして昨夜の事で、

これ以上の男女の接触が続けば、もはや子供の遊びのみでは済まされなくなる、

という事を本能的に悟っていたのかもしれません。


ゆかりも私も、大人への道を歩き始めていたのです。

いよいよ祭りをその夜に控えた、蝉しぐれの響く午後の事でした。



【続く】
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