8月25日(日)に第48回天竜川カヌー大会が行われました。
私が初めて天竜川カヌー大会に出場したのが37年前の高校2年生の時です。
その後20代に6回、50代になってここ4年天竜には来ているのですがレース出場は3年前が最後でその後は応援できています。
今回競技中に出場選手の死亡事故が起きてしまいました。
お亡くなりになった選手のご家族には心からお悔やみ申し上げます。
救助作業を見守った近くの住民や救助に協力した天竜川舟下りを運航する「天竜舟下り」の社員によると、寺田さんの後ろにいた救命救急の資格を持つ参加者が河原に救助。他の関係者と一緒に人工呼吸や心臓マッサージをした。意識不明の状態だった寺田さんを天竜舟下りの救助船に乗せて近くの時又港まで運び、救急車で病院に搬送した。
救助活動を見守った七十代男性は「下流から他のカヌーが救助に向かい、カヌーの中で人工呼吸するなど騒然とした雰囲気だった」と語った。
カヌー経験者の男性によると、転覆現場の直前にはカーブが難しく、流れが速い鵞流峡沿いを通るが、現場付近は流れが緩やかという。高森町によると、鵞流峡には六人の水上レスキューを配置するなどの安全対策を講じており、寺田さんは同所を通過後に転覆したとみられる。
→引用 中日新聞
事故の概要を自分がわかる限りで説明します
レースは長野県高森町の市田港(親水公園)から時又港までの13kmを下ります。
1分間隔で1艇づつのスタート
上の動画は高校の後輩大西選手。スタート直後の瀬で撮っています。お亡くなりになった選手はこの2分前に通過しました。第1漕者から見ていましたがここで挙動がおかしい選手はいませんでした。
このあと高校の同級生である古賀選手を撮ってからゴール直前の橋に向かいました。
ゴール直前の天竜川上流から見て右岸(天竜舟下り・時又港側)の橋の上流側に行きました。
この時上の画像にあるように橋の左岸側に出場選手と思われる5、6人いたのを確認しましたが沈したカヌーの水抜きを行っているものと思い特に気にもとめませんでした。
その後上の画像にあるエンジン付きの船が右岸から左岸へ渡っていったのを見ても、カヌーが破損してゴールできない選手とカヌーを運ぶためかと思っていましたが、画像(左岸から右岸へ渡っている途中)では小さくて確認できませんが目視で船上で救命活動をしているのが見えたため何らかの事故が発生したとわかりました。
上の画像は古賀選手のゴール前ですがこの時点でも左岸に選手かレスキューの方が写っています。
写真を撮っている数百m上流に鵞流峡(がりゅうきょう)というレース最大の難所がありますが中日新聞によると6人のレスキューを通過後に沈(転覆)してカヌーから離脱できずお亡くなりになったようです。
鵞流峡の大きな瀬を抜けるともう1つ厄介な場所があります。川の底から湧き上がるような水の流れがあり、ここにカヌーのへさきが入ってしまうと急にカヌーが止まってしまったり、急に旋回を始めたりします。このときにバランスを崩して沈(転覆)したのではないかと考えられます(あくまで推測です)。
カヌーから脱出できなかった理由は不明です。カヌーは水が入らないようにスプレーカバーというものでコックピットを覆っています。素材によってはかなりきつくしているものもありますが通常は沈(転覆)した時点ではずれてしまうかスプレーカバーについている取っ手を引っ張ってカヌーから脱出します。離脱できなかったということは沈した段階で意識を失っていた。あるいはスプレーカバーの取っ手が外れているかして脱出できなかった、ということが考えられます(あくまで推測です)。
死亡事故をうけての長野県高森町・壬生照玄町長の経緯説明によると今後の開催については現時点では不明ないし取りやめもありうるとのこと。
今回の死亡事故を教訓とした大会運営の方法について考える
カヌーを愛する者として、天竜川を愛する者として48回も続いた大会の存続を望んでいます。我が本郷高校カヌー部一同気持ちはひとつです。
カヌー大会のレスキューの仕事は沈(転覆)してカヌーから脱出した人とカヌー本体とパドルの回収が主なものです。
カヌーから脱出できないでそのまま流されるというのは想定外の事故だったと思います。
しかし事故は起きてしまった。一度起きてしまえば「想定外」ではありません。
今後のカヌーレスキューはカヌーから脱出できない人の救助も「想定内」にしなくてはなりません。
長距離のレースということもありコース全域でレスキュー対応できるかといえば難しいと思います。
基本は自分の命は自分で守るセルフレスキューです。
これを踏まえての提言です
1 鵞流峡下にはエンジン付きボート、または2人乗りジェットスキーのレスキューを配備。操船者とスキューバの装備をした者でレスキューする
私がゴール前の橋近くで見ている間も4,5艇が沈して流れてきました。やはり鵞流峡は難所のため、かつジェットスキーが可能と思われますので重点警備
2 事前下見練習会を春先から月1回実施
3 完漕に自信がない方には伴漕者と一緒に下ることを許可する
伴漕してくれる人がいればレスキューがいない場所で沈しても対応できる
4 レスキューは全員携帯電話保持
素早く本部と連絡取れるようにする
5 エントリーした選手とは別に15分~20分間隔でレスキューをスタートから下らせる
コース全体の安全確認のため
6 申込時に自分の力量を上級・中級・下級か初心者のいずれであるかを自己申告させる
スタート順を受付順ではなく、上・中・下の順番にする。下級か初心者が連続してスタートしないことにより選手間での相互レスキューを可能にする