昔の事で、今でも自分ではよく覚えていると思う記憶が、実際は、著しくプラスの方かマイナスの方へ振れているものがある。
まあ、良い記憶は更に良い思い出に、悪い記憶は更に悪い思い出にという風に、 ちょっと前の、「おいなりさん(いなりずし)」の話だ。
小さい頃からよく食べたおいなりさんがある。
その店は、その筋では有名な店からのれん分けでやっていたのだと思う
その店のは油揚げを濃い口醤油で煮詰めているのだろうか
油揚げが茶色というよりは黒っぽい
甘辛くて、本当に旨かった。
引っ越した後も時々、親父が買ってきてくれたりしたが、小学校以来ご無沙汰していた。
親父が死んだ後も、車でよく店の前を通ったりしていたが買い求めることはなかった。
それが何の拍子か店に入ってみた。
店は寂れていて昔の面影はなかった。
店の人と話をしたが若い人に代替わりしていた。
団子やおいなりさん、のり巻きと一通り買ってみた。
チョット昔のとは違うかなと思いながら、事務所に戻って紙の包みを開いて食べてみた。
おいなりさんの色もその辺で売っているものと変わらなかった。
驚いたのはのり巻きだ
海苔が巻ききれていないのだ
中の酢飯が一直線に見える
俺の思い出が無残にも散った瞬間だった。
思い出は思い出のままにしておいた方が良さそうだ
特に良い思い出は・・・