先日私の小学校時代の恩師の死について書いた
→「私の先生、逝く」
この時末筆に亀井勝一郎の一文を引用した
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それが「愛の無常について」からか「恋愛論」からの引用か定かではない
しかしこの2冊しか読んだことがないからどちらかなんですが。
上の画像は既にこの本は自炊してPDFファイルとなっているのでそれをコピーしました
調べてみると1949年に出版された本のようです
- 作者: 亀井勝一郎
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 1998/01
- メディア: 文庫
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アマゾンで調べたら、「愛の無常について」はまだ販売しているのですね
これだけの年月を経ても古本販売だけではないということは不変の何かがあるのでしょう
亀井勝一郎の人物像については全く知らなかったのでウィキペディアから一部引用すると
北海道函館区(現・函館市)元町生まれ。旧制函館中学校(現・北海道函館中部高等学校)から旧制山形高等学校(現・山形大学)経て、1926年(大正15年)に東京帝国大学文学部美学科に入学するが、1927年(昭和2年)には「新人会」会員となりマルクス・レーニンに傾倒し、翌1928年(昭和3年)には退学。
同年4月には治安維持法違反の疑いにより豊多摩刑務所に投獄され、1930年(昭和5年)に保釈される。1932年(昭和7年)にはプロレタリア作家同盟に属すが、翌年には解散。以後、同人雑誌『現実』(1934年)、『日本浪曼派』(1935年)を創刊し、評論を発表する。1934年、最初の評論集『転形期の文学』を刊行。
1937年(昭和12年)には『人間教育(ゲエテへの一つの試み)』を刊行。同年、武者小路実篤と顔を合わせる。1938年(昭和13年)、『人間教育』が評価され菊池寛より池谷賞を受ける。同年の『日本浪漫派』廃刊後は、『文学界』同人となり、以後同誌に多く連載した。この頃に、太宰治と親密になる。同じ時期に大和路紀行を行い、古代・中世の日本仏教との出会いにより開眼、聖徳太子、親鸞の教義を信仰し、その人間原理に根ざした宗教論、美術論、文明・歴史論、文学論の著作の多くを連載出版した。 詳しくは→
私には高校時代の恩師というか、一緒に遊んでる人というか、人生の師のような人がいるんですがその先生に亀井勝一郎について尋ねたら即答でペラペラと解説してくれたので現在70近くの知識人なら1冊は読んでるような感じなんでしょうか
私がこの「愛の無常について」を読んだのは高校2年か3年の時です。
なぜこの本に出会ったかというと当時の英語を教えていただいたS先生が授業中に、
亀井勝一郎の「愛の無常について」を読んで人生が変わった
と話されたからです。
今でこそ私の高校は結構な進学校ですが当時は今に比べたら現役生に大変失礼に当たるというレベルな学校でしたがお殿様が建てた高校だからか朗らかというか非常に自由な校風でした
別の英語のT先生の授業も英語のことよりも、ヴァイオリニストのユーディ・メニューインについての話しか思い出せません
神童 ユーディ・メニューイン/The Early Recordings of Yehudi Menuhin
- アーティスト: ユーディ・メニューイン,アクロン,デ・モナステリオ,ブロッホ,ヘンデル,サマズィーユ,コレルリ,リムスキ=コルサコフ,パガニーニ,シューベルト,ヴィエニアフスキ,ショーソン,ジョルジュ・エネスコ,パリ交響楽団,ルイス・パーシンガー(Piano),ヒューベルト・ギーセン(Piano),アーサー・バルサム(Piano)
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私には衝撃でした
だって1冊の本で人生が変わったというんですよ
どのように変わったか話されたのかまでは記憶にないのですがとにかく人生が変わったと話されたことが強烈に印象に残っていてたぶんすぐ本を買ったんだと思います
当時17か18位でしょうから40歳前後の先生の人生観が変わる本に興味を持ったんだと思います
正直私の読解力では全く歯が立たちませんでした。
難関大学の入試問題みたいな感じでした。
私には人生観が変わった意味はわかりませんでした
それから月日が経って大学に入ってからもう一度読んでいるんです
なんでわかるかというと当時本を読んで気に入った文章は「名言ノート」というタイトルのノートに写し書きしていたからです。
そしてもう1冊の「恋愛論」も読みました
私の名言ノートを今見ても(これもPDFファイルになってますが)司馬遼太郎と亀井勝一郎からの書き写しが一番多い。
司馬遼太郎の作品はかなりの数を読んでいるんで1冊当たりの書き写しでは圧倒的に亀井勝一郎からなんですね
読み返してみると今の時代においても変わらないモノがあると思います
どんな人間でも、心に深い感動をうけたときはそれを適当に言葉として表現できないものである。すべて一流の美はそういう性質をもっていて私たちに沈黙を迫る。美への愛とはこの沈黙への愛だとさえいってよい。
だからほんとうの理解とは口に出してうまく言えるかどうかということだけではない。説明が上手だからといって理解しているとはかぎらない。心のふかくにおさめておいてつまりは沈黙のうちにうなずく場合だってある
そしてこの沈黙の肯定が一番深いのではないか。すぐれた作品はこれによって支持されてきているのである。批評家とは何よりもまずこの沈黙の代弁者でなければならない。そしてそれに適当な表現を与えることで読者の心を代弁するものでなければならない
青春時代に一番大切なことはいつまでたっても解決できないような、途方にくれるような難題を自己の前に設定することではなかろうか
現代の特長はすべてが乱用されるということだ。節度の喪失である。節度の喪失とはあきらかに精神病の状態である
S先生がご存命なら一度話を聞いてみたいなあと思いました
私はまだ人生を変えるような本には出会えておりません